あやうしサトミ!エビルギア来襲!

 

 

 2年生に進級、ぶっちぎりの快進撃で神奈川県大会を制した武蔵体育大学付属南武高校・・・。

中でも、紅一点・東サトミの活躍は目覚しく、レシーバーとしても、キッカーとしても大会ナンバー1の呼び声が高かった。

特に、レシーバーとしては、「女」としての成長から、体がやや丸く重くなり、トップスピードとパワーに翳りが出たものの、それを経験と、逆に女性ならではのしなやかさでカバーし、ビジュアル的にも、髪を伸ばしセミロングになったため、メットから靡くその髪は美しかった。

 絶対のパートナー、双子の兄、サトルに加え、もう1人の天才レシーバー、岬陽一も加わり、大巨人・西本剛の抜けた穴は、西郷隆盛の生まれ変わり、大河原清が見事に埋めた。あとは東京代表の京王高校、吉本工業高校を倒し全国大会へまっしぐら。

 

 だが・・・。

敗れた旺盛二高の黒川は、股の下をサトミにくぐられ、頭上を陽一に飛び越えられるという屈辱から、大会後大いに荒れていた。

そんな彼に、不気味な老人が接触したことを誰も知る由はない。

 

 関東大会を前に、神奈川県連盟では壮行会を開催した。ライバルたちに送られるサトルたち南武メンバー。だが、この壮行会にカラクリが仕掛けられていたことを誰が知っていようか・・・。

 大海大相模、旺盛、湘南商業などライバル校のメンバーたちと楽しく談笑するメンバーたち。だが・・・。

突如、全員が動かなくなった。料理に痺れ薬が入れられ、仮死状態になったのだ。

 だが、体内に特殊メカ「コア」が埋め込まれているサトミだけは、生命に危機が迫るとそれが自動的に作動し、体内組織が生身のものから、機械人間「素体」に切り替わるため、意識を残していた。

サトルは・・・実は、サトルは、MVP表彰で別の会場におり、後で合流することになっていたのだ。

照明が消える。そして光る一つ目・・・

「デストラーゼの怪人!」

身構えるサトミ。だが、暗闇の上、ここには仮死状態の仲間たちや料理があり、とても戦えない。

 しかし・・その「何か」はいきなりサトミの腕を掴み、投げ捨てた。

「バリっ」

海岸のホテルの4階から投げ落とされたサトミ。だが、彼女は人間であって人間ではない。普段は鍛えぬかれた筋肉をもつ生身の少女だが、その体内にメカを圧縮した特殊回路「コア」が埋め込まれている彼女は、それを作動させることにより、生身の肉体とメカ細胞が一瞬のうちに入れ替わり、さらに西本研究所から転送されたプロテクトギアが合体して、人を超え機械を越えた重機動人間・メガボウラー=レッドギアにその姿を変えることができるのだ。「ビルド・アタック!」サトミは投げられながらも叫んだ。サトミの割れた腹筋が裂け、虹色に光る金属球が現れたかと思うと、一瞬のうちに彼女はロボットのような素体と化し、真紅の鎧がその身を包み、戦闘機械メガボウラーとなるのだ。

「何の真似!」

「問答無用!」

サトミは相手を見て驚いた。なんと、相手もメガボウラーだったからだ。漆黒のボデイは、前主将・西本剛が変身する試作メガボウラーの「ダークギア」と色も形も大きさも似ていたが、まがまがしいスパイクが各部に生え、より兇悪で力強かった。

 「東サトミ!貴様をバラバラに分解して俺様のドリルをぶち込んでやるぜ」

「そっくりあんたに返してやるわ!」

サトミは、ふた回り以上大きい強敵に敢然と挑む。

キック、パンチ、タックル・・・。だが、全く通用しない。

 「ニセモノの癖に・・・」

以前にも、デストラーゼはニセのメガボウラーや、メガボウラーの技術を応用した怪人を送り込んできたが、いずれも本物の敵ではなく、敗れ去っていた。技術自体は,完全に盗まれていたのだ。

 最初は、ライトニング姉妹。のきっちんの弟の悪党・鬼頭幽鬼と宇宙海賊の娘・ソミンを改造してサトルとサトミに互角に戦ったが、改造途中だったきっちんが合体に割り込む事によって合体を阻止され、敗れ去った。

 次は、サトミに思いを寄せる落ちこぼれ部員の修を、サトルのニセモノに仕立て、爆薬を仕込んで合体後に爆破しようとしたが、性能不足で失敗した。

いずれも、2体の合体技術を盗んで利用したものだったが、今回はあえて、単独で戦う試作タイプを開発したのだった。

 そして、それは周到な用意の元に行なわれた。

メガボウラーの強さの秘密は、生身の人間の生命力と、重機動メカの合体による生命を持った機械兵士のパワーと、さらにそれが合体して巨大化し、より大きなパワーを発揮することにある。

 だが、機械部分をいくら強化しても、システム上、@元になった人間の運動能力とパワーが劣っていれば活躍できず、Aまた、2体の相性がよくなければ拒絶反応で合体できない、B3体以上同一システムのメガボウラーがいる場合、合体に割り込まれる恐れがあるという欠点もあった。

 また、@の理由から、女性を改造するのは困難だが、より大きな生体エネルギーをもつ女性を含んだほうが合体後のパワーが強くなるというデータも残っている。女性でありながら、完全に並みの男を凌駕する体力・運動能力を持ち、しかもパートナーが双子の兄であるサトミこそ、最適の素材だったのだ。

 しかし、今までデストラーゼは、重要なことを見逃していた。

それは、メガボウラー・ブルーギア=サトルが、天才的頭脳を持った「知性の戦士」であることである。2人の連携・合体は、単に2人が改造人間で、かつ優れた運動能力をもち、更に相性抜群の双子であるため、と思われてきた。だが、それだけではあれほどの奇跡の活躍は出来ない。

全てリーダーであるサトルの冷静な判断と指示があってのものなのだ。

 そこで今回、サトルを切り離し、サトミ単独になったところを、重量級タイプのメガボウラーで襲わせて、まずサトミを確実に葬り去り、合体・巨大化でき亡くなったサトルを後で倒す、という作戦に出たのだ。 ダークギアシステムでは、体が大きくて腕力の強い男を改造すれば無敵の戦士がいくらでも作れる。不足する生体エネルギーは、適当な女性を圧縮して生体電池としてコアに入れれば良い。従ってサトミに恨みを持つ男の中で一番強いものを改造し、マネージャーをコアにすれば良いのだ。そこで決勝で敗れ恨みを残していた黒川を改造したのが「エビルギア」なのだ。

 サトミは、優れた戦士である。度胸も運動能力もパワーも、サトルに大きく劣らない。ほとんど同じである。変身後はスペック上は全く同一である。

女であるため、生命力はより強い。だが・・・残念なことに、彼女は猪突猛進型の性格の上、あまり頭がよくなく、敵の罠に嵌りやすかったのだ。

 また、彼女が男性以上のパワーを持つ、といっても、それは一般的な男性と比較してのことであり、相手が2メートルを超える巨漢であれば、とても力では敵わない。それは改造されギアを纏っても同じことであった。つまり、サトミはエビルギアに勝てないのだ。

 

「うっ・・畜生・・・」

完全に圧倒されたサトミ。

「ゲヘヘ・・・メガボウラー・レッドギア様もこうなったら形無しだなぁ・・・こっちも本気を出すぜ。」

「キャーーー」

戦士らしくない悲鳴を上げるサトミ・・いくら強力に改造され鍛え抜かれていても、彼女は女子高生なのである・・・。

赤いギアに皹が入る。

「どれ、その可愛い顔とオマンチョを見せてもらおうか」

「やめろ!」

エビルギアは、サトミのヘルメットを鷲掴みにして強引に脱がせ、さらに、フロントアーマーを剥ぎ取った。そこには、女性器を模したラジエターがある。男性型の体型に改造されているサトミだが、ここだけは「女」の形を残していた。排水と余剰エネルギーの放出以外には機能はない作り物だが、ここが残っているかどうかは、生理的・精神的にかなり重要である。つまり彼女は機械化されているがロボットではなく、人間であり、かつ女だということである。女でなくなれば、発狂してメカと拒絶反応を起こして死んでしまうのだ。

 必死に抑えるサトミだが、パワーは10倍以上差があった。やがてへなへなと倒されてしまうサトミ。更に・・・

「ギャーーーーー」悲鳴というよりは絶叫。サトミの左腕が、まるで蟹のように捥がれてしまったのだ。これで抵抗力は半減。

 

「どれどれ、へへ、これがサトミたんの・・」

「やめろ・・・触るな・・・!」

しかし、圧倒的パワーのエビルギアは、サトミの秘部を大きな手でこじ開け、指を突っ込んだ。

「ひぎっ・・・っ!」

 何度も説明するが、これは排水口とラジエターを納めたケースに過ぎない。生殖器としての機能は一切持たない造りものである。彼女の本物の生殖器はコアの中にある。だが、その感触は生身のものと変らなかった。

「指だけでは物足りないだろう・・俺のドリルをぶち込んでやるぜ。

クイーーーーン唸りを立てて回転するエビルギアのドリル。

「キャーーーー・・・助けてサトル・・・」

だがサトルは今東京だ。メガボウラーといえども30分はかかる。

 それに、サトルにも追っ手が差し向けられていることは言うまでもない。

サトミ、絶体絶命のピンチ。

 

エビルギアのドリルが突き立てられようとしたその瞬間である。

 サトミのコアが、激しくスパークし、白煙を噴き上げた。メカが過負荷に耐え切れずオーバーヒートしたのか・・敵のドリルを受け入れる屈辱の前に、自爆してしまうのか・・・いや、そうではなかった。

 

「ぬおおおおおーーーーっ!」

サトミは突如起き上がり、エビルギアを突き放した。

「何!」

「よくもこのオレをいたぶってくれたな!」

「何故だ!」

「問答無用!」

「うわーーーーーっ」

サトミの怒りのキックが、エビルギアのコアをぶち抜いた。

「キャーーーー」エビルギアの中から、女の悲鳴が。

「小百合!」コアにはマネージャーの鬼河原小百合が入っていたのだ。

「ちゃんとした彼女いるくせに俺をレイプしようとするなんて・・・許せない!あの世で彼女に詫びろ」

「うわーーーーーっ」

サトミは、エビルギアの首をへし折った。そして高く掲げる。

「勝った・・・」

丁度そこに、敵の罠で分断されていたサトルと、西本親子が駆けつけた。

「サトミ・・お前1人で倒したのか・・・?」

「さ、サトル・・わたし・・」

安心したせいか意識を失ったサトミ。失禁する・・・。

「博士、このメガボウラーの素体になった2人を蘇生してあげましょう。」

「パパ、みんなは痺れて仮死状態になっているだけよ。もうしばらくすれば目を覚ますわ」

 

「サトミくん、よくやった・・・しかしどうやって・・・ん?」

西本博士は一瞬目を疑った。

「そうか・・・」

半スクラップと化したサトミの股間に、一物が生えていたのだ。だが、失神とともにそれは急激に収縮して、元の女の形に戻って行った。元々、サトミは男性ホルモンが分泌過多で大きなクリトリスを持ち、性格も男性的で攻撃的だったのだ。

「なるほど・・・サトミ君の怒りのパワーが頂点に達し、アドナレンと男性ホルモンが一気に大発生し、一時的に男になって一瞬の奇跡のパワーを発揮したのだ・・・。しかし、このダメージは大きい。すぐ緊急手術だ」

博士は、携帯手術台でサトミを手術し、サトルもコアの半分をサトミに分け与えた。

 サトミは、なんとか蘇生に成功した。時を同じくしてみんなの意識も戻った。

「お待たせ、主役の到着だよ!」

サトルと手を取り合って入場するサトミ。

「お、待ってました!」

 

 気を失っていたことを知らないみんなは、2時間半の時間が立っていることを忘れてしまっていた・・・。

 

そして、関東大会でもサトルとサトミは活躍したのであった(外伝を参照してください)

 

 なお、黒川と小百合もなんとかコアから蘇生し、改心して大学で活躍した。

 

 

終り。